【インタビュー】『淵に立つ』の深田晃司監督が語る、最新作『よこがお』に込めた思いとは?

 

【インタビュー】『淵に立つ』の深田晃司監督が語る、最新作『よこがお』に込めた思いとは?(2019/6/14)


2016年に『淵に立つ』で、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査委員賞を受賞し、いま“日本で最も革新的な映画監督の一人”と評される深田晃司監督の最新作『よこがお』について、監督の作品への思いや撮影現場の裏側、キャスティングについてお話しを伺った。
※本文は監督の発言以外、敬称略で統一

映画『よこがお』

7月26日(金)テアトル梅田 ほかロードショー
深田晃司監督が、『淵に立つ』(2016)で多数の賞に輝いた筒井真理子と再びタッグを組み、オリジナル脚本で挑む衝撃のヒューマンサスペンス。ある事件をきっかけに、突然「無実の加害者」となった訪問看護師の市子(筒井真理子)は、絶望の淵で何を見たのか。彼女が行ったささやかな復讐とは――?
出演:筒井真理子 / 市川実日子 池松壮亮 / 須藤蓮 小川未祐 / 吹越満
公式サイト:https://yokogao-movie.jp/

 

“筒井真理子さんの美しい「よこがお」に着想を得て、一方からでは見えない社会の複雑さ、普通の人が直面する社会の理不尽さ、事件の“周辺”の出来事を、ありのまま描きたいと思いました”


『よこがお』は、ある日突然、事件の「加害者」側に立たされた、平凡な女性(筒井真理子)が主人公。誰もが体験しうる“日常の崩壊”がドラマチックに描かれている。
「今回、脚本を書くにあたり、犯罪に巻き込まれた場合メディアがどんなふうに近づいてくるのか、加害者側の親族はどうなるのか、過去の事例などを調べました。でも、あくまで加害者と被害者の相克はひとつのモチーフであって、根本的に描きたかったのは、世の中は理不尽であるということ。私たちの日常はちょっとした偶然によって姿を変えてしまうものであるという思いがベースにあります。今回に限らず、選ばれた特別な人間よりも、そうではない多くの平凡な人にフォーカスし、そこにある特別な感情を描きたいと思っています」と、監督は映画のテーマについてこのように語った。

タイトルは、新聞に載った筒井真理子の美しいよこがお写真を見て、脚本を書く前から決めていたそう。「結果として映画の内容にあうタイトルになりました。よこがおって片方は見えるけど、片方は絶対見えない、そんな人間の多面性や不穏さも併せ持っています」。

“撮影では、全ての場面が特別でした。脚本を俳優の演技が上回る、そんなシーンばかりでした”


本作には、主演の筒井真理子をはじめ、市川実日子、池松壮亮、大方斐紗子、川隅奈保子ら実力派俳優が重要な役柄で出演している。
監督も「今回は、キャスティング・オーディション共に全てうまくいき、隅から隅までうまい俳優しか出てこない、そんな映画になりました」と自信をみせる。

筒井真理子の魅力について「筒井さんの役作りは徹底していて、脚本にもびっしりと書き込んで、現場でも常に役に向かって集中している感じです。脚本を読んで、それをどうアウトプットするかは、俳優のセンスが問われるところだと思いますが、筒井さんはその出し方が、通り一遍ではなく非常に豊かです。キャリアや技術はもちろんですが、それを感じさせない、リアリティを出せる方だと思っています」。

また、今回深田監督の映画に初出演を果たした市川実日子について、「市川さんのことは、前田司郎監督の『ジ、エクストリーム・スキヤキ』(2013)から気になっていました。現場では驚くぐらい天真爛漫で、ずっと笑っている明るい方でした。でもカメラの前に立つと、スッと暗い影のある基子(もとこ)になってくれました」と話す。

特に印象的だった「犬」のシーンでは、大阪ではおなじみのTV番組『探偵!ナイトスクープ』でヒントを得て、専門家の指導のもと苦労して撮影を行ったそう。
また、筒井真理子演じる市子と、市川実日子演じる基子が2人で会話をする「喫茶店」のシーン。「これは2人の演技のうまさが際立ったシーンでした」と振り返る。
※シーンの詳細はネタバレを含むため省略

 

“映画『よこがお』では描かれなかった、もうひとつのラストシーン”


映画のラストシーンは、印象的なアングルの「よこがお」が画面に映され、ふつふつと湧きあがるような<希望>を感じさせる。だが、実は『よこがお』には2つのラストシーンが用意されていたという。もともと、小説家志望だったという監督が自ら書き下ろした『よこがお』の小説版では、映画では採用されなかった、全く異なるラストが描かれているそうだ。

【映画原作『よこがお』情報】
7月19日発売決定!
単行本『よこがお』(KADOKAWA刊)
著者:深田晃司
価格:1600円
あらすじ:訪問看護師として働き、ささやかな幸せを掴もうとしていた市子。そんな市子に憧れを覚える訪問先の孫娘、基子。彼女たちの日常は、基子の妹の誘拐事件によって一変した。築き上げた二人の信頼関係はもつれ、共犯関係は崩壊し、事態は思わぬ結末に――。監督自らが執筆し、市子、基子の両者の心情に深く切り込んだ戦慄の物語。

“次は「コメディエンヌ」としての筒井さんを撮りたい”

次回作について伺った際、「構想はいくつかあります。もしまた筒井さんと一緒に映画を作れるなら、コメディエンヌとしての筒井さんを撮ってみたいですね。筒井さんって実は、舞台でギャグを連発するようなすごくおもしろい人なんですよ」と、すでにアイデアがある様子。気がはやいが『淵に立つ』、『よこがお』に続く、筒井真理子<三部作>の完成が今から楽しみだ。

 

取材日:2019/06/11 文:黒田ゆうこ
©2019 YOKOGAO FILM PARTNERS & COMME DES CINEMAS

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