クリエイティブな暮らしを考える LIXILギャラリー「吉田謙吉と12坪の家」-黒田通信vol.42-

 

「LIXILギャラリー/大阪」で現在開催中の企画展「吉田謙吉と12坪の家-劇的空間の秘密-」に行ってきました!

※詳細は末尾に記載しています
※写真は全て「LIXILギャラリー」WEBサイトより引用しています、会場内撮影はできません

「LIXILギャラリー」独自のテーマで開催される年4回の企画展。

今回は、吉田謙吉という人物にスポットを当てて、東京にあった「12坪の自邸」を手がかりに、その功績や思想を読み解きます!

吉田謙吉▶1897(明治30)年東京生まれ。舞台美術や装丁家、文筆家など多彩な活躍をみせた人物で、関東大震災をきっかけに今和次郎とともに考現学を立ち上げたり、演出家の土方与志に師事し「築地小劇場」の舞台美術やポスター、チラシ制作に携わったり、『婦人雑誌』に文と絵を寄稿したり、活躍は多岐にわたり、一人多業の『何でも屋』を自負。

関東大震災が起きた1923年、被災者たちがバラックを建て始めたのを見て、師である今和次郎を中心にして若手芸術家たち「バラック装飾社」を結成。バラックの内外にペンキで色鮮やかな装飾を施す仕事を通して、復興に貢献したそうです。

 

そして今回の見どころである、吉田謙吉の自邸「12坪の家」。

戦後、自邸を建てる際、戦災者・引揚者の住宅確保を目的とした法規制をうけ、与えられたのが「12坪」の住宅面積でした。

なんと、吉田謙吉は、その12坪(約40平米/約22畳)という決して広くない家の中に、舞台と観客席を作ったのです。

今回、企画展のために「12坪の自邸」の資料を集めて作成された模型から、その自邸の全容を俯瞰することができます。


屋根は当時流行りだった「片流れ」スタイルで、外壁は赤、モザイクタイルのある庭。
ジブリ映画に出てきそうな佇まい。

ギャラリーには舞台の一部も再現されています。
ふだんは、観客席=居間、舞台=アトリエとして、家族が普通に過ごし、一段高くなった舞台は謙吉さんが舞台美術製作などの作業や、撮影スタジオとして使っていたそう。

観客席と舞台を仕切る緞帳まであり、会場には実際に使われていた緞帳や机が展示されています。

現在、自邸は残っていませんが、
毎日のように人が訪れたという家は、
人を楽しませることを一番に考えていた謙吉の“暮らしの哲学”が詰まった、
理想の空間だったといえます。

ちなみに奥さんの鹿乃子さんもアイデアマンだったらしく、
展示されている、高さを変えられる机は日曜大工で鹿乃子さんが考案したもの。
今でいうDIYの紹介を婦人雑誌に投稿していました。

夫婦揃って「暮らしはクリエイティブなもの」と捉えていたそうです。

関東大震災、度重なる戦争、さまざまな制約の中で、
常に“逆転の発想”で暮らしを楽しむ工夫を形にしてきた吉田夫妻の姿勢に、
かなり学ぶところ、励まされるところの多い内容でした。

展示物で一番おもしろかったのは、謙吉が街ゆく人たちの様子を事細かに記録したスケッチ。
服装、持ち物、ポーズ、表情、公園のカップル、サラリーマンのポマード量(!)など…。とても事細かに記録されていておもしろい。
謙吉がメモを片手に街を歩く様子は、当時の新聞で「007ばり」と書かれ、怪しまれたり、追い払われたりしたこともしばしば。
でもそんな調査の蓄積が、映画、舞台、テレビの美術担当者の資料として役立てられたそうです。
※ブックレットでそのスケッチが紹介されています

企画展は2月19日(火)まで、ぜひ一度、行ってみてください。
場所がかなりわかりにくいので、過去の黒田通信でご紹介している「行き方案内」を再掲します

◎LIXILギャラリー/ 大阪(グランフロント大阪南館タワーA 12階)への行き方
「グランフロント大阪」はJR大阪駅北側直結の大商業施設ですが、「タワーA」というのは「グランフロント大阪南館」の上にドーンとのっかっているオフィスタワーです。
JR大阪駅北側から南館へ入館すると、右手に「タワーA」専用入り口があります。そこからまず9階までエレベータであがり、さらに9階で左手のセクションA(11~18階)のエレベータへ乗り換えて12階「1214」号室へ。「本当にここにギャラリーが?」と不安がよぎっても諦めずに進めば必ず辿りつきます。

◎企画展について◎
2018.12.07(Fri)~2019.02.19(Tue)
吉田謙吉と12坪の家-劇的空間の秘密-
LIXILギャラリー/ 大阪(グランフロント大阪南館タワーA 12階)
10:00~17:00
水曜定休、2/17(日)休館
入場無料
公式:http://www.livingculture.lixil/topics/gallery/g-1812/
ブックレット:http://www.livingculture.lixil/publish/12-1/
A4判変型・並製・80頁 ネット購入可能

◎最後に
ギャラリーを語るのに欠かせないのが、調査、取材、展示まで全てに携わるディレクターの髙橋麻希さんです。毎回、熱心に解説をしてくれます。
誰よりもそのコンテンツを面白がっていることが伝わってきて、こちらも感化されます。
常にギャラリーに居られるわけではないので、会えた方はラッキーです

大阪スケジュール12月号の巻頭特集「さすがです、企業ミュージアム」でも
ご紹介していますので、よろしければどうぞ。
PDF版はこちらからどうぞ。
http://osakaschedule.jp/wp-content/uploads/2018/11/1812-.pdf
(P02)

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